【就労移行支援の活用事例】#1 簿記資格取得と企業見学で分かってきた特性

エナベル市川の就労移行支援は、個別訓練主体で人それぞれ利用の仕方がまったく違うのが特徴。本記事では、Aさんの活用事例をご紹介します。

就労移行支援ってどんなことができるの?」と気になっている方は、ぜひ参考にしてくださいね。

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またフルタイムで働きたい。就労移行支援を利用開始

これまで、4年ほど公務員として事務職をしていました。フルタイムの正職員で、チームで1つの仕事を仕上げるのはとても充実感がありました。しかし、呼吸器系の疾患で仕事を続けることが難しくなり退職。うつ症状もみられていたため、1年弱療養生活を送っていました。

夫が働いているので生活費の心配はなく、夫も「焦って就職しなくていい。ゆっくり体調を整えて」と言ってくれていました。しかし、自分だけ仕事をしないで家にいることに、少しずつ後ろめたさを感じるようになっていったんです。そこで、またフルタイムの仕事を目指していきたいと思い、エナベル市川を見学しました。

エナベル市川は、就労移行支援と就労継続支援A型があります。どちらを利用するか迷いましたが、一般企業への就職活動をしっかりフォローしてほしかったので、就職活動にじっくり時間を使える就労移行支援を利用することに決めました。

自信が持てない私。就労移行支援で日商簿記3級を学ぶことに

就労移行支援の利用にあたって、どんな訓練をしていくかの面談がありました。また事務職に就きたかった私は、少しでも事務職に活きるスキルを身につけたいと思っていました。もともと私は自分に自信が持てない性格で、何をするにも万全な状態に整えておきたかったからです。

すでにMicrosoft Officeスペシャリスト(MOS)の資格は持っていたので、日商簿記検定3級を目指してみることにしました。「簿記=経理の仕事って思う人もいるけど、簿記3級で学ぶ内容は社会人の基礎教養と言ってもいいぐらい大切で、きっとどんな仕事でも役に立ちますよ」と、支援員の後押しもありました。

エナベル市川の就労継続支援A型は会計事務所がルーツの事業所で、会計記帳代行の業務を主に請け負っています。普段から勘定科目などの会計用語が飛び交うような、簿記を身近に感じられる環境です。支援員も簿記の資格を持っている人が多いので、質問するといつも分かりやすい例えを挙げて教えてもらえました。

毎日コツコツと簿記の勉強を続け、5ヶ月ほどで日商簿記検定3級に合格することができました。事業所から受験料のサポートもあったので、思い切って受験できてよかったです。

パソコンも軽作業もバランスよく。仕事の幅を広げた

エナベル市川では、フリーペーパーのチラシ折込とポスティング作業も受注しています。休まず安定して通所しているメンバーは、作業に参加することができます。

折込作業はマニュアルがあり、数人で役割を分担しながら行います。お互いの作業の進み具合を確認しながら自分の役割を黙々とこなしていくのは、チームワークと集中力を同時に養うことができます。淡々と手を動かして進める作業は、考えすぎて疲れてしまった頭を整理したいときにぴったりです。また、他のメンバーと雑談しながら作業できるのも気分転換にもってこいでした。

MOSの復習を兼ねてパソコンの訓練をしたり、こういったチラシ折込のような軽作業をしたりと、仕事の選択肢の幅を広げられる訓練ができたと思います。いろいろな作業経験を通して、自分に向いている仕事を少しずつ理解していきました。

考えが散らばりがちな特性を理解し、迷ったときに道筋を示してくれた

簿記の勉強をしているとき、たびたび就職活動のことが気になって求人情報を探すことがありました。スタッフに求人票を見せて「この求人が気になっています」と相談するたびに、その求人について一緒に詳しく調べてくれました。ですが、最後には「でも、まずは簿記の試験が終わってからですね」と、しっかり軌道修正が。それを繰り返すうちに、自分には考えが散らばりがちな特性があることが分かるようになってきました。

自分一人だったら、きっと求人が気になるたびに応募して、体調が整わないまま就職していたかもしれません。でも、それでは今までと同じことの繰り返し。自分の特性を理解してコントロールする術を身につけなければ、また体調を崩して退職することになってしまいます。

折に触れて「今やるべきこと」に気づかせてもらえたので、「この先どうしよう」という焦りや悩みが少しずつ減っていき、気持ちも安定していきました。

在宅訓練を併用して、訓練が途切れないように工夫した

エナベル市川では、在宅訓練を行うこともできました。通院で通所する時間がとれないときや、外出する体力はないけど休むほどでもない体調のときに、自宅でパソコンの学習やオンライン面談を受けられます。

欠席してしまうと「休んでしまった」と後ろ向きの気持ちになるものです。しかし、少しでもできることを模索して訓練を途切れさせないようにするのは、モチベーションを維持するのに必要だと思います。

企業見学を通して、自分に合った職場を探す目を養う

無事に日商簿記3級を取得してからは、スタッフと話し合って少しずつ企業見学をしていくことになりました。すぐに就職することが目的というより、いろいろな会社を実際に見てみることで自分に合った働き方を知ることの方が主眼だったように思います。

企業見学に申し込むまでの過程でも、スタッフと一緒にいろいろな角度から細かくチェックをしていきました。通勤距離は体力に見合っているか、始業時間までに出社するには何時に起床し何時に家を出ればいいか、仕事が終わって帰宅するのはこれぐらいの時間だけど家事は間に合うか…など、スタッフに問いかけられて初めて具体的にイメージすることができました。

企業見学はスタッフが代わりに申し込んでくれて、当日同行もしてくれました。見学の前に「見学ではその会社のどこをチェックしたいか」「質問したいことはあるか」など、事前にリサーチをしてから臨んだので、見学当日も不安が少なく、聞きたかったことを質問することもできました。また、見学を終えてからもスタッフと一緒に振り返りを行い、特性を踏まえて「実際にこの会社に入社したらどうなるか」をシミュレーションすることで、冷静に自分に合う会社を選べるようになってきました。

同じ会社であっても、自分の視点とスタッフの視点を照らし合わせることで、気づかなかったメリットやデメリットが見えてきます。この先長く働くことになる会社を一人だけで比較検討するよりも、見学に同行したスタッフと話し合いながら検討できるのは、とても安心感があると思いました。

就職だけでなく、家庭や生活まで含めてキャリアを考えるように

スタッフと就職について話をするとき、いつも話題に上がっていたのは「仕事と家事の両立」、そして「家族の協力」です。

話を重ねていくうちに、仕事は人生の一部であり、生活と完全に切り離すことはできないと分かってきました。生活がうまく回るからこそ仕事にも取り組めるし、家族とも仲良くやっていけるのだと思います。

今までは目先の就職ばかりにとらわれていましたが、長い目で自分の人生を見たときに、どうしていくのが幸せなのかを考えるきっかけをもらえました。焦らず、立ち止まって将来について考える時間を持つことができてよかったと思っています。

活用のポイント

  • 日商簿記検定3級を取得した
  • デスクワークと軽作業の訓練を取り入れた
  • 体調がすぐれない日も、在宅を活用して訓練を続けることができた
  • 会社選びや企業見学を通して、自分の特性を見つめ直すことができた

Aさんは引き続き就職活動を行い、ご自身の目指すキャリアを探していきます。ぜひAさんの活用事例を参考にして、就労移行支援の利用を検討してみてくださいね。

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