高校3年生の息子をもついち田さん。進路のことがプレッシャーで学校を休みがちになってしまった息子さんは、メンタルクリニックで統合失調症と診断されました。いち田さん親子は、どのように進路を考えていくのでしょうか?
※この話は過去の相談事例にもとづいて再構成しています。相談者は架空の人物です。
高校卒業後の進路が決まらない!
高校3年生の息子のことですが、卒業後の進路を決められなくて悩んでいます。


息子さんの進路を決められなくて悩んでおられるのですね。
進路を決めるのは大変なことですからね。
そうなんです。子どもは勉強についていくのがやっとで、毎日疲れていて進路のことを考える余裕がないようです。

3年生に進級してからは、進路のことがプレッシャーで学校を休みがちになってきました。


それはご心配でしょうね。
息子さんの好きな科目や趣味はありますか?
特にありません。ですから、大学や専門学校を見学してもピンとこないみたいで…。もともと勉強があまり好きではないので、無理に進学させるのもどうかな…と思っています。

高校卒業後の進学以外の進路候補は?

進学以外の進路として、どんなことをお考えですか?
進学以外となると就職しか思いつかないんですが、いま学校を休みがちなので、週5日働けるかどうか心配です。

じつは最近、スクールカウンセラーの先生の勧めでメンタルクリニックに通い始めたんです。そこで、統合失調症と診断されて…この状況では就職活動もできないのではないかと思っています。


そうでしたか…それでしたら、今は体調の回復が一番大事ですね。焦って進路を決めても、継続するのはとても難しいでしょう。

エナベル市川からの提案ですが、高校をご卒業されたら「就労移行支援サービス」をお使いになってはいかがでしょうか?
「就労移行支援」は働く準備を整える場所
就労移行支援、ですか。そういえばメンタルクリニックでパンフレットを見かけたような…。どんなサービスなんでしょうか?


就労移行支援は、精神疾患や発達障害、知的障害などで就労につまずきを感じている方の就職をサポートする福祉サービスです。

お住まいの自治体から「障害福祉サービス受給者証」が発行されれば利用できます。医師の意見書や診断書があれば、受給者証を申請可能です。
市役所に「就労移行支援サービスを利用したい」と申請すればいいんですね。

就労移行支援ではどんなことをするの?
就労移行支援では、具体的にはどんなことをするのでしょうか?


働くために安定した体調を維持するセルフケアの方法を身につけることが第一です。まずは通うことから慣れて、規則正しい生活リズムで過ごせるようにしていきましょう。

どんな状況で体調が崩れるか、どんなことをすれば回復するかを息子さん自身が理解して、実践できるように練習します。この「自己理解」が、この先とても大切になります。
それは助かります!セルフケアの方法は、学校ではなかなか教えてもらえないことでしょうね。


ビジネスマナーやソーシャルスキルなど、社会人になるための訓練もできるので、より不安が少ない状態で就職を目指せますよ。
就労移行支援を利用するメリット

また、就職活動と職場定着のサポートを受けられるのも就労移行支援のメリットです。見学・実習のほか、面接に同行できる場合もあるので、初めての就職活動も安心して進められるでしょう。

就労移行支援の利用期間は2年間です。期間内に就職すると、最長3年6ヶ月の職場定着支援※を受けられます。
※別途、就労定着支援サービス契約が必要です
就労移行支援の利用料金
就労移行支援というサービスを初めて知りました。
料金はどれくらいかかるんでしょうか?


制度上は、利用料の9割が行政の負担で、残り1割が利用者様の負担です。世帯年収とご本人の収入によって負担上限月額が決まりますが、エナベル市川の場合は利用者様に代わって事業所が負担しますので、無料で利用できます。

交通費はお住まいの自治体の助成のほか、エナベル市川からもサポートいたします。お昼ごはんも無料ですよ。
利用料が無料で、お昼ごはんもついてくるんですか!
親としてはとても助かるけれど、うちの息子が通えるか心配です。


まずは体調の回復に専念しましょう。そのあと、学校やメンタルクリニックの先生に相談して、3日間体験をしてみませんか?
そうですね!就労移行支援のことを、学校の先生と主治医の先生に話してみます。

いち田さんのお話まとめ
統合失調症を発症し、高校卒業後の進路に悩むいち田さん親子。大学や専門学校への進学に意欲的でなく、かといって就職にも不安を感じています。
- まずは回復に専念することが第一
- 進路が決めきれない場合は「就労移行支援」も選択肢に
- 障害者手帳がなくても主治医の意見書や診断書があれば就労移行支援を受けられる
- 2年間の訓練で体調管理方法や人との関わり方、ビジネスマナーを身につけて就職活動をスタート
- 目指す職種がある場合は資格の勉強も可能
- エナベル市川の就労移行支援は無料で利用できる
- エナベル市川の就労移行支援は昼食も無料
障害者手帳なしでも就労移行支援を利用できることも
就労移行支援は、障害がある方の就職や職場定着を支援する障害福祉サービスですが、障害者手帳がなくても主治医の意見書や診断書があればサービスを受けられます。
いち田さんのように発症間もない頃はもちろん障害者手帳はありませんので、医師の診断をもって自治体の支給決定が行われます。自治体が「この方には就労移行支援サービスが必要」と判断すれば受給者証が発行されますので、手帳を持っていなければいけないわけではありません。
就労移行支援は、上手に活用すれば自分の武器をたくさん持てる・強化できるサービスです。進路に不安を抱えている方は、ぜひ一度相談にお越しください。