療養生活などで仕事からしばらく離れていた人にとって、転職や職場復帰は大きなエネルギーがいるものです。「職場の皆についていけないのでは?」「今の状態で自分は働けるんだろうか?」と、漠然とした不安を抱えている人も少なくないのではないでしょうか。
ここでは、「働く自信がない」と感じる理由を解説。そして、就労移行支援の立場からサポートできる対処法をお伝えします。「そろそろ仕事をしなければいけないけど…」と悩んでいる人の参考になればうれしいです。
働きたいけど自信が持てない人は意外に多い
障害の有無にかかわらず、仕事に対して自信を持っていない人は少なくありません。「マイナビ転職」が2021年に行ったインターネット調査(回答数1,351名)では、20代の68.6%・30代の58.6%が「自身の仕事に自信がない」と回答しました。
年代が若いほど仕事に自信が持てない傾向にあることが分かります。20代は3割が仕事に「自信がある」と回答。30代は41.4%、40代は57.4%、50代以上は76%が仕事に「自信がある」ようです。キャリアの長さが影響していると考えられます。
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/datalabo/18/
仕事をしている人が、必ずしも自分の仕事に自信を持っているわけではないんですね。
このことを前提として、働く自信が持てない理由を掘り下げていきましょう。
働く自信が持てない理由1:今までの仕事がなぜか長続きしなかった
働いた経験はあるけれど長続きしない人。そして、試用期間で契約が終了したりリストラにあったりして職場を追われてしまった人は、働く自信を失ってしまうかもしれません。
また、人間関係のトラブルといったネガティブな要因で転職を繰り返すと「次もうまくいかないのでは」と考えてしまいますよね。
対処法:就労移行支援で「うまくいかなかった理由」を振り返ってみよう
仕事が長続きせず働く自信が持てない人は、今までの仕事がうまくいかなかった理由を振り返ってみましょう。就労移行支援では、次の就職をよりよいものにするためにスタッフと一緒に過去の振り返りをすることができます。
例えば人間関係のトラブルが原因で転職を繰り返した場合、職場で上司や同僚と円滑にコミュニケーションをとるためのSSTプログラムに取り組むことによって、弱点を把握して対策を立てられる可能性があります。
反対に、今までの仕事が長続きしなかった理由がわからない・思い当たらない人は、就労移行支援でスタッフと一緒に自己分析をしてみるのもおすすめです。
他の人の視点を取り入れると、今まで気づかなかったことが見えてくるかもしれませんよ。
働く自信が持てない理由2:自分の得意なことがない・わからない
「自分には、人に言えるような得意なことがない」と考えている人。職業にもよりますが、すべての仕事に必ず特殊な技能や高度なスキルが求められるわけではありません。特別なことができなくてもよいのです。
未経験・初心者OKの仕事もありますしね。
得意なことを活かして働くのはやりがいのあることですが、得意なことややりたいことがわからない人は、まずは「当たり前にできること」「長い時間やっていても苦にならないこと」を振り返ってみましょう。
対処法:就労移行支援で「当たり前にできること」に気付いてみよう
あなたが当たり前だと思ってやっていることは、もしかすると他の人にとっては難しいことかもしれません。
例えば、毎朝早起きすることや、駅までの徒歩20分を毎日歩いていること、手帳に体調を記録していること、相手の目を見て「おはようございます」と挨拶すること、落ちているゴミに気付いてゴミ箱に捨てること。
早起きが苦にならない人は、朝早いお店の開店準備のような仕事で力を発揮できるかも!
「できること」のハードルが下がったような気がします。
就労移行支援のスタッフは、あなたの何気ない行動や発言をしっかり見ています。そして、それが強みになることを教えてくれるでしょう。
働く自信が持てない理由3:まわりの人が仕事ができるように見える
隣の席にいる人や同じ作業をしている人が気になることはありませんか?「あの人は自分より早く作業が進んでいるみたい」「あの人はタイピングが上手だ」などと気になって、自分のすべきことに集中できなかったり落ち込んでしまったり…。
なぜかまわりの人が「仕事ができる」ように見えて、「自分はまだまだだ」と考えてしまうと働く自信もなくなってしまいますよね。
対処法:就労移行支援で自分とじっくり向き合ってみよう
まわりの人が気になる人は、他人軸で物事を考えているかもしれません。まずはその考え方をしている自分を受け入れて、就労移行支援でじっくり向き合ってみましょう。
「そう思うのは間違い」と否定するのではなく、まずは受け入れるんですね。
自分の価値基準で物事をとらえられるか。過去の自分と比べてどうか。このような自分軸による物の見方を身につけると、今よりもちょっと生きやすくなるかもしれません。
働く自信が持てない理由4:体調が不安
体調が不安定で長く働いた経験がない人も、少なくないのではないでしょうか。本当は働きたいけれど、体力がなくて一歩踏み出せない…。せっかく気持ちや能力があっても、体力が追いついていかないとうまくいきません。
とはいえ、ひとくちに「体力をつける」といっても、一人ではとても難しいものですよね。
運動にしろ勉強にしろ、一人で何かを始めて習慣づけるのって大変ですよね。
対処法:就労移行支援で生活リズムを見直そう
そんなときは、まず就労移行支援で生活リズムを一緒に見直してみませんか?睡眠・食事・入浴・運動の習慣を職員と共有し、改善できるところがないか一緒に考えてみましょう。
一人で取り組むのは気持ちが続かないこともありますが、誰かと一緒なら長く続けられるでしょう。気が付いたら朝食を毎日食べるようになっていた、夜型から朝型になっていた…という先輩も。
毎日の積み重ねのパワーはとても強いです。変えたい・変わりたいと思うなら、今から少しずつ始めてみませんか?
見守ってくれる人がいると張り合いがあるし、ちょっとサボりにくくなります笑
働く自信が持てない理由5:本当は働きたくない・働く意味がわからない
中には、「そもそも働きたくない」という考えもあるかもしれませんね。家族が働いているからお金には困らない、働かなくても大丈夫な環境が整っている人にとっては、働く動機は少ないといえます。
「友達がみんな働いているから」「親に働けと言われるから」何となく就職先を探しても、応募先に対して心からの志望動機が思い浮かばずに就職活動がうまくいかなくなってしまいます。
対処法:就労移行支援で自分の価値観を掘り下げよう
そんなときは、就労移行支援で自分の価値観を掘り下げてみるのがおすすめ。仕事に対する考え方を整理したり、何を大切にして生きるかをじっくり考えてみたりすると、この先すべきことや進みたい道が見つかるかもしれません。
自分のこととはいえ、価値観は一人で整理するのが難しいものです。職員とワークに取り組みながら自分を見つめ直し、より納得のいく将来を考えてみましょう。
進みたい道がもしも”就職”でなかったとしてもいいんですよ!
働く自信が持てなくても大丈夫
冒頭でも解説したとおり、誰もが働く自信を持っているわけではありません。経験や年齢を重ねて、少しずつ「気が付いたらできるようになっている」ことが増えるのが自信といえるでしょう。
今すぐでなくても大丈夫です。一歩一歩自分の歩幅で進んでいけば、きっと見えてくるものがありますよ。